トレドの工房で刀を磨く職人

伝統への旅:カスティージャ-ラ・マンチャで職人芸を再発見

カスティージャ-ラ・マンチャ

伝統的な方法で行われる手作りの職人芸を目にしたいと思いませんか?これは、スペインの文化が長年にわたって受け継いできた異なる遺産への旅であり、カスティーリャ・ラ・マンチャの職人たちの仕事を知るための提案である。アルバセテ、シウダ・レアル、クエンカ、グアダラハラやトレドを訪れてカスティージャ・ラ・マンチャの手工芸品に魅了されましょう。

ナイフや刃物の土地アルバセテ

アルバセテを訪れる理由はたくさんあります。その一つは、スペイン全国レベルで有名な、手作りのナイフや刃物の製造方法を知ることです。この伝統はイスラム時代に遡り、現在のデザインにも多大な影響を与えていますが、現在のような産業として成立したのは15世紀のことです。アルバセテの刃物の歴史をまるごと知りたいなら、刃物博物館を訪問しましょう。また、毎年アルバセテで開催されている国際刃物見本市「イベルカット」には一流のナイフメーカーが集まります。ラ・マンチャ地方に属するこの県は、16~17世紀に起源を持つ中世の芸術、大甕(おおがめ)でも有名で、アルバセテ博物館を訪れるとその魅力に触れることができます。壺産業は特にビジャロブレドで有名であり、この街では最大時には72もの壺窯がありました。 

アルバセテ刃物博物館の展示室の様子 © アルバセテ刃物博物館

レース編みで有名なシウダ・レアル

レース編みは、手作りの伝統的な編み物の技法の一つで、シウダ・レアルで最も重要な手工芸の一つです。何百年にもわたり、シウダ・レアル県はこの工芸品の一大産地でした。その証拠に、市立レースとブロンドレースの博物館では、さまざまな技法や幅広い種類のショール、スカーフ、ベール、扇子などの歴史を追いかけることができます。現在もシウダ・レアルには陶器工房を営む職人が多く、ラ・マンチャ陶器博物館「フォルマ」の存在もあって、陶器もまた、同県で最も重要な伝統工芸のひとつとなっています。マンガン材のような新しいテクニックや素材で近代化されているとはいえ、シウダ・レアル県では陶芸の最もピュアな本質は、一部たりとも失われていません。 

上:博物館の展示室 © Formma / 下:Formmaで展示された作品、シウダ・レアル市にあるラ・マンチャ陶芸博物館 © Formma

職人技の発祥地クエンカ

時は過ぎ去りますがクエンカの職人芸に向けた伝統は変わらず、今日も存在感を保ち続け、最高級の製品で豊かな文化をクエンカ県にもたらしています。何百年も前から、イスラム芸術に起源を有するテクニックによる陶器の製造で有名でしたが、かご細工や金属加工においても素晴らしい匠がいます。クエンカの職人らが作り出す素晴らしい作品を鑑賞するには、この街の旧市街を散策し、工房を眺めるだけで十分です。壺や水入れ、ティーポット、壁の装飾用のお皿といったお土産を購入できます。何でもお好きなものをどうぞ!

上:クエンカの陶芸作品 © ルイス・デル・カスティージョ陶芸工房 / 下:クエンカの陶芸工房 © ルイス・デル・カスティージョ陶芸工房

グアダラハラ、繊維と革細工の職人

職人芸は、グアダラハラにおいて重要な位置を占め続けています。長年の歴史を持つこれら職人芸への情熱は、特に人気のある中世市場、またはスペイン全国から職人らが集まるグアダラハラ春の伝統工芸市が開催される場合に、道端で感じられます。今日も活動を続けている職人芸の中では、革細工に関連したものがとても重要です。他の地域では入手が困難な、他にない製品です。詳細にこだわった贅沢と信じられないほどの素晴らしい仕上げが備わり、伝統的なテクニックに従っています。

グアダラハラの職人が作った革細工の歴史的作品の再現

職人の街トレド

職人芸は、プロ職人が手作りで仕上げた素晴らしい作品で知られるトレド県のあちらこちらに息づいています。この世界遺産の街には重要な歴史的・文化的遺産が残されていますが、その中でも工芸品が大きな役割を果たしていることは明らかです。トレドの伝統芸術の代表格は象嵌(ぞうがん)で、これを使えばどのようなものにも装飾を施すことができます。トレドを訪れて、有名な「トレドの金」で飾られた金銀細工や宝石、刀や家具に魅了されましょう。歴史的地区ではいくつかの工房を訪れて、何世代にもわたるこのテクニックの秘訣を直接目にしましょう。県内では、木材、陶磁器や鍛冶場で制作された刀や工芸品も際立つ存在です。

上:トレドのダマスク模様工房 © トレド市役所市観光局 / 下:ダマスク模様の例 © トレド市役所市観光局
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