フィゲレスのダリ劇場美術館の内観

スペイン、ダリの宇宙への旅

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天才的で、奇抜で、挑発的。そして再現不可能。それが、シュルレアリスムの巨匠であり、20世紀を代表する前衛芸術家、サルバドール・ダリである。スペインにあるダリの場所を訪れることは、カタルーニャ地方のいわゆる「ダリニアン・トライアングル」から始まる、感動に満ちた旅を体験することである。彼のユニークな創作の世界に浸り、魅力的な作品を何時間も楽しみ、彼にインスピレーションを与えた場所や風景を知るには完璧なルートだ。

  • フィゲレスのダリ劇場美術館の外観

    フィゲレスのダリ劇場美術館

    この場所に足を踏み入れることは、ダリ自身の心の中に入り込み、その隅々を通して、彼の個人的で芸術的な世界のさまざまな側面を発見するようなものだ。この美術館は「世界最大のシュルレアリスムのオブジェ」と言われており、またダリのもっとも野心的な作品でもあります。展示作品のほとんどを選んだのも、またそれらをさまざまなスペースに配置したのもダリ自身です。この美術館は、作家ダリが生まれ故郷であるフィゲラスへの贈り物として作り上げたものなのです。また、ここはダリ・ルートの出発点でもあり、町中にあるダリにまつわる場所を巡ることができる:床のタイルに刻まれたアリが示す道を進むだけだ。サルバドール・ダリの生家は、没入型の体験を楽しみながらダリの人生について詳しく知ることができる場所で、ダリ・ルートの見どころの一つです。

  • ポルトリガットのサルバドール・ダリの家の全景

    ポルトリガットのサルバドール・ダリの家

    フィゲラスから40キロメートルほど離れたカダケスの入り江、ポルリガッツに、サルバドール・ダリが40年以上暮らした住居兼アトリエがあります。クレウス岬の周囲の風景と光に惚れ込んだダリは、1930年、コスタ・ブラバのこの一角に小さな漁師小屋を購入します。彼は時間をかけて、隣接する他の小屋を連結させながらスペースを拡張していき、この場所を、今日の家博物館に見られるような複雑な構造に変えてゆきました。見学には事前予約が必要。ここでは、さまざまな部屋から地中海の風景を眺めることから生まれる魔法を感じるだろう。また、画家のアトリエや工房、ダリとガラの私物や記念品、夫妻が公の場で暮らした屋外の中庭や庭園も見学できる。 

  • プボールのガラ・ダリ城の庭園にある象の彫刻

    プボルのガラ・ダリ城

    サルバドール・ダリの無限の創造性によって、プボールに建っていた古いゴシック様式の城は、愛妻ガラのための驚きと建築の謎に満ちた親密な隠れ家へと変わることになります。フィゲレスから約40キロの場所に位置するこの「ダリニアン・トライアングル」の頂点は、芸術家が愛と献身から作り上げた贈り物であり、庭を含むすべてのスペースの装飾に、彼特有のシュルレアリスムの世界が存在している。ダリがミューズの招待状を受け取らなければ立ち入ることができなかったこの場所を訪れれば、二人の歴史と、二人を結びつけた個人的な関係に触れることができるだろう。

  • キャップ・デ・クレウス海岸の風景の詳細

    クレウス岬の風景

    「私の神秘の楽園は、エンプルダー平原に始まり、アルベレスの丘に取り囲まれ、カダケス湾でその全貌を現す。この国はいつでも私のインスピレーションの源なのだ。」ダリが風景、自然、そしてクレウス岬沿岸に対して抱いていた憧れは、彼の芸術作品に備わる本質的なディテールの原点をなしています。その一例が、クジャローの入り江にある大きな岩です。この岩は、名画《グレート・マスターベーター》のインスピレーションの源となりました。この美しいスポットの周辺では、ダリのイメージの数々を目にすることができる。クレウス岬の灯台を訪れると、その周辺にあるすべてのルートとトレイルについての情報を得ることができます。灯台には、インフォメーションセンターとクレウス岬自然公園の小さな博物館が設置されています。さらに、カダケスからは、自然公園のエリアを通って灯台まで行く7キロ強の旅程がある。

  • ソフィア王妃芸術センター収蔵、ダリ作《グレート・マスターベーター》の前で立ち止まるガイドツアー

    マドリードのレイナ・ソフィア美術館とティッセン・ボルネミッサ美術館

    「ダリニアン・トライアングル」を構成する家博物館を巡る場合、そのコースを補完する施設として理想的なのが、サルバドール・ダリのシュルレアリスム芸術を展示している在マドリードの2つの美術館です。来館すると、ダリの代表的な絵画を鑑賞できるだけでなく、彼の芸術家としてのキャリアにおける重要な側面や時期を知ることもできます。たとえばソフィア王妃芸術センターでは、《透明人間》《窓辺の人物》《グレート・マスターベーター》といった作品とともに、抽象的かつキュビスム的な作品、劇場の舞台美術のためのスケッチ、さらにはルイス・ブニュエルとの共作である短編映画『アンダルシアの犬』も鑑賞できます。同センターの近くにある国立ティッセン=ボルネミッサ美術館では、《目覚めの1秒前にザクロのまわりを蜜蜂が飛んだことによって引き起こされた夢》《グラディーヴァが擬人化された遺跡を発見(回顧的幻想)》といった絵画で表現されている、ダリの象徴的なテーマと対峙できます。

スペインでダリのシュルレアリスムの世界を味わってみませんか?ダリ劇場美術館のバーチャルツアーにぜひご参加ください。

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