ア・コルーニャのパノラマビュー

ピカソを祝福するア・コルーニャ:若き日の天才に出会う

A Coruña

20世紀を代表する偉大な芸術家パブロ・ルイス・ピカソが人生の重要な時期をガリシアのこの町で過ごしたことは、誰もが知っているわけではありません。その町とはア・コルーニャ。彼は9歳から13歳までこの町で暮らしただけでなく、同じくこの町で絵を描き始めたのでした。スペイン北部にあるこの美しい町を訪れる予定があり、ピカソという人物にも興味があるという方にとって、2023年はすばらしい年になることでしょう。実家だった建物など、少年期の芸術家ピカソに特にゆかりのある場所を直接訪れることができます。そのうえ、彼の没後50周年を記念して、特別に企画されたさまざまなアクティビティに参加することも可能です。ピカソという天才がどのように形成されたのかを解明してみませんか?

ア・コルーニャ時代のピカソはどのような少年だったのでしょうか?

1891年、9歳のパブロ・ルイス・ピカソは家族とともにア・コルーニャに移り住みます。父親はこの町で美術学校の教師として働きました。そしてまさにこの美術学校において、ピカソは素描家として並外れた技術を磨くことになるのです。彼が画家としてのキャリアをスタートさせ、最初の展覧会を開催したのもここア・コルーニャでした。プライベートでは、この土地で初めて恋愛を経験したほか、妹の死に苦しみます。そしてこの出来事は、彼の人生に大きな影響を与えることになります。

ア・コルーニャでピカソが通っていたエウセビオ・ダ・グアルダ小学校

アクティビティ満載の一年

この町がピカソの幼少期と青年期に重要な役割を果たしていたことを考えれば、今後数か月にわたって開催予定のこの芸術家にまつわる一連の主要イベントからア・コルーニャを外すわけにはいきません。ベジャス・アルテス美術館への訪問をカレンダーに書き留めておきましょう。そこでは「青い記憶のなかの白いピカソ」展が2023年3月24日より開催されます。さまざまな美術館の協力のもと、この展覧会では100点にも及ぶ作品を鑑賞することができ、そうした作品を通じて画家ピカソがガリシアに残した足跡をたどることができるようになっています。 世界中のピカソ作品の研究者が参加する会議をはじめ、ドキュメンタリーの上映、音楽イベント、ガイドツアー、絵画ワークショップなど、幅広い文化プログラムが組まれるなか、この展覧会はその中心的なイベントとして位置づけられています。 

ア・コルーニャのベジャス・アルテス美術館の館内

ピカソの私生活にゆかりのある市内各所

この町を訪問したついでに、この芸術家の足跡をたどってみましょう。ア・コルーニャにいたころのピカソと知り合いになるには、まず立ち寄るべき場所があります。その場所とはピカソの家博物館。この建物の3階にはピカソが家族と暮らしていた住居があります。家に足を踏み入れた途端、19世紀末のア・コルーニャの典型的な家屋の雰囲気に包まれたように感じます。室内には、当時使われていた家具や物品、ア・コルーニャ時代にピカソが制作した作品の複製、この芸術家が自ら手がけた彫刻などが保存されています。さらに2023年には、画家ピカソの資料を展示するビジターセンターがこの建物の2階にオープンする予定です。 そのまま歩いていくとポンテベドラ広場に行き着きます。そこに建つエウセビオ・デ・グアルダ中学校・高校にピカソは10歳で入学し、付属の美術学校にも通いました。美術工芸学校には、この画家の優秀な成績表が保存されています。

ア・コルーニャにあるピカソの家博物館
ア・コルーニャのピカソの家にある絵筆

ほかにも興味深いスポットをお探しですか?レアル通り20番がおすすめです。当時はここに家具店があり、ピカソは1895年、そこで最初の展覧会を開催しますが、その時点で彼はすでに新聞などで高い評価を受けていました。後に、彼は再びこの通りで2度目となる展覧会を開催し、『帽子をかぶった男』を発表します。この作品は現在、パリのピカソ美術館に収蔵されています。ピカソにゆかりのある別のスポットとしてはロサリーア・デ・カストロ劇場が挙げられます。ここでピカソは劇場公演に参加し、舞台上に『宝くじの10分の1券』や『淑女に挨拶する紳士』といった風俗画を描きました。そしてもちろん、サント・アマーロ墓地もおすすめです。スペイン有数の美しさを誇る歴史的な墓地であるとともに、「ヨーロッパの墓地のルート」の一角を占める存在でもあります。ここにピカソの妹が埋葬されています。

ロサリーア・デ・カストロ劇場を背景にしたア・コルーニャ港

ピカソの目が描かれたア・コルーニャの市章2つ

ア・コルーニャで訪れることのできるさまざまな場所の中には、かつてこの画家をも虜にした特に美しいスポットがあります。 ひとつは、かの有名なリアソール・ビーチで、ピカソはここで子ども同士の遊びを楽しんだものです。ひとたび海を前にしたら、大西洋の色を捉えたり船乗りの仕事を表現したりするためにこの芸術家が絵を描きに出かける姿を想像してみるとよいでしょう。素敵なエクスペリエンスが味わえるはずです。

ア・コルーニャにあるリアソール・ビーチ

もうひとつのスポットはヘラクレスの塔です。この塔が町一番の名所であることに疑いの余地はありません。世界最古の灯台であるうえ、現在も稼働中の唯一の灯台であることから、ユネスコの世界遺産に登録されています。ここから望む景色は独特なもので、ピカソもお気に入りだったようです。実際、彼は多くの素描や油絵のなかで、ヘラクレスの塔——または父親が呼んだところの「キャンディーの塔」——を登場させています。「それは私の感覚が目覚めた町であり、時間も距離もその事実を消し去ることはできません」と、ア・コルーニャを離れて何年も経った後に芸術家ピカソは語っています。 このような特別な年に、あなたもこの町を訪問してみませんか?

ヘラクレスの塔、ア・コルーニャ
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