バルセロナのピカソ美術館

2023年はバルセロナでピカソを感じてみませんか?

Barcelona

芸術家パブロ・ルイス・ピカソの生涯はバルセロナを抜きにして語ることはできません。そこで当然のことながら、カタルーニャのこの町では、画家ピカソの没後50周年を記念して企画されている一連のイベントの一環として、さまざまな展覧会が開催されます。バルセロナを訪問する際は、ピカソ美術館を隅から隅まで堪能することはもちろん、マラガ出身のこの画家が修業時代を過ごし、またラモン・カザスやサンティアゴ・ルシニョールなどの芸術家たちと一緒に暮らしたこの町のそれぞれのスポットに足を運んでみることをおすすめします。ここに来て、ピカソが描写を得意としていた地中海の光に身をゆだねてみませんか?ここなら、キュビスムの天才についてもっとよく知ることができるでしょう。

「すべてはその土地から始まりました…。その土地で、わたしは自分の可能性を見出したのです。」

バルセロナについてピカソはこう語っています。バルセロナは、ピカソが1895年(14歳を迎える直前)から1904年にかけて主に過ごし、その後も幾度となく訪れていた町です。その9年間は、彼の画家としての修行中に極めて重要な意味をもつことになります。ピカソが描いたバルセロナは、当時、近代都市として羽ばたこうとしているところでした。ピカソはすぐにその前衛的な文化芸術界に溶け込み、ここバルセロナで、彼にとっては初となる独自のスタイルを創作し始めます。それが「青の時代」です。

バルセロナの景観

2023年開催の3大展覧会

この芸術家の死を記念してバルセロナでは3つの展覧会が開催されますが、いずれもピカソという人物をより深く理解するには必見のものばかりです。まず、バルセロナのピカソ美術館が主催する展覧会の主役はダニエル=ヘンリー・カーンワイラー。キュビスムを扱う美術商の先駆者です。ピカソ自身の意志によって設立されたこの美術館を訪れることは、間違いなくおすすめエクスペリエンスのひとつといえるでしょう。この美術館は彼の修行期間のものとしては世界でもっとも重要なコレクションを所蔵しているほか、有名な『ラス・メニーナス』(女官たち、の意)の連作や、画家の最後の妻であるジャクリーヌ・ピカソが寄贈した貴重な陶磁器コレクションもあります。ピカソ美術館はまた、ジョアン・ミロ財団とともに展覧会を共催しますが、そこでは、芸術家双方の友情や互いへの尊敬の念に焦点が当てられています。さらにデザイン美術館では、2023年6月からピカソとスペイン陶磁器について詳しく学ぶことができる予定です。

バルセロナにあるミロ財団の内部

市内に残されたピカソの足跡をたどる

上記いずれかの展覧会に足を運ぶ際は、バルセロナを巡りピカソゆかりのスポットに立ち寄るという機会を逃してはなりません。まずはエルス・ポルショス・ダン・シフレーの区画からスタートしましょう。なぜなら、バルセロナに移住したばかりのルイス=ピカソ家が住居として使用していたのが、この建物の一角の1階部分だからです。マラガ出身のこの芸術家がテラスまで上がり、そこから屋根を描いたり初めての都市景観作品を制作したりしていた姿を想像できますか?すぐそばにはジョッジャ邸 があります。この建造物は、バルセロナにあるゴシック様式の一般建築としてはまさに至宝といえるもので、ピカソの父が教鞭を執り、ピカソ自身が美術を学んでいた場所でもあります。後に、この芸術家は、この町の各地域(たとえばラ・プラタ通り)にあるさまざまなアトリエを渡り歩くことになります。

バルセロナにあるジョッジャ邸の外観

ノバ広場には3つのフリーズがありますが、これは、ノルウェー出身の彫刻家兼写真家カール・ネシャールがピカソの素描を基に建築家協会の建物のファサード用に制作したものです。そして、最後に立ち寄るべき特別なスポットといえばカフェレストラン「エルス・クアトレ・ガッツ」(4匹の猫、の意)です。ここは、モデルニスモが花開いた19世紀末のバルセロナで、知識人の会合の場として中心的役割を果たしていた場所です。ピカソ自身がデザインしたポスターを見れば、ピカソが通い詰め、彼の作品を初めて展示することにもなった初代カフェの面影を残すこの店へと、足を踏み入れたくなるはずです。バルセロナは、今日でも前衛的かつコスモポリタンな都市の好例であり続けていると同時に、ピカソを魅了し彼に向かって近代化の扉を開いたかつてのバルセロナの姿を受け継ぐ都市でもあります。ピカソが感じられるバルセロナを発見してみませんか?

バルセロナにあるカフェレストラン「エルス・クアトレ・ガッツ」の内部
に関する詳細をごらんください