サンタ・セシリア礼拝堂

この田舎風のシンプルな礼拝堂が放つ調和のとれた美しさは、その立地に起因しています。というのもこの礼拝堂は、穏やかな渓谷のなかにそびえる岩の上に位置しているからです。

田舎風のシンプルな礼拝堂で、小ぶり（19×9メートル）ながらも優れた石造建築です。身廊がひとつあるほか、内陣と半円形の後陣が設けられています。南側を向いた玄関口は、開放感のある中庭で守られています。この中庭と、同じ壁に取り付けられた角柱状かつ立方体の塔が相まって、要塞のような外観を呈しています。礼拝堂にある一連の彫刻は特に際立っています。扉口には7重の尖頭型の飾り迫縁（せりぶち）があり、植物のモチーフ、大型の刳り形（くりかた）、繰形（くりかた）で飾りつけられています。飾り迫縁の下にある柱頭は、いわゆる「連続フリーズ」を形成しており、そこには聖書の場面や幻想的なシーンが表現されています。 また、コーニスのブラケット（持ち送り）にある浅浮き彫り（なかにはエロティックなモチーフもあります）をはじめ、後陣の窓の飾り迫縁および柱頭にある浅浮き彫りや、礼拝堂内の二重の尖頭型凱旋門にある浅浮き彫り（のこぎり歯、サムソンとライオンの場面、幻の動物たち）も特筆に値します。