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バスク州の風景

北部

北部には、素朴さと力強さが等しく息づいています。

森の静けさを通して。海から吹く風を通して。

シードル大通り

シードル大通りを歩くと、通りのリズムを刻む、絶え間ない軽やかな音が聞こえてきます。液体がグラスに弾ける音は、アストゥリアス州オビエドの日常の鼓動を刻む、リズミカルな音の連なりとなります。

伸ばした腕が、わずかに傾けた口の広いグラスを支え、その上方から細い金色の液体が流れ落ち、暗い背景に何百もの小さな輝くしぶきが飛び散っています。オビエドのガスコナ通りを歩くと、辺りが独特の音に包まれ、空気が震えるように感じられます。液体がグラスの内側の縁に当たる、鋭く乾いた音が聞こえます。水音のような絶え間ない軽やかな響きが、シードルバーのざわめきと溶け合い、飲み物がグラスに弾ける音が拍子を刻む、生き生きとした音の空間を生み出します。このエスカンシアードは単なる所作ではなく、アストゥリアス産シードルの炭酸ガスを引き出すための緻密な技法です。高い位置から注ぐことで、シードルはすばやく空気を含んで細かな泡が生じ、「エスパルマール(泡が生じてすぐに消える現象)」によって本来の風味が引き出されます。

カブラレスチーズの洞窟

世界有数のチーズが生まれる洞窟の暗闇へ足を踏み入れると、濃密で湿った空気に包まれます。発酵による刺激的で土を思わせる香りが肺いっぱいに広がり、アストゥリアス州の「カブラレスチーズの洞窟」でゆっくりと進む熟成の過程を感じさせます。

ざらざらとした淡い色の外皮を持つ円筒形のチーズがいくつか、厚い濃色の木製棚に並べられています。そこにいると、冷たく重い空気に、刺激的なアンモニア臭と濃厚な土の香りが満ちているのを感じます。息を吸うたびに、カビを思わせる香りと濃密な湿気に満たされ、空気そのものに触れられそうなほどに感じられます。この強烈な香りを生み出しているのが、チーズに青い筋を形成する青カビ菌、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)です。ピコス・デ・エウロパにある、この石灰岩の洞窟では、非常に高い相対湿度と一定の温度が地下の熟成環境をつくり、生乳が時間をかけて、世界でも特に香りの強いチーズの一つへと変わっていきます。

プリアの潮吹き穴

岩の断崖を歩き、地中から噴き出す水の力強い音に耳を傾けると、カンタブリア海の深い息遣いを感じます。アストゥリアス州の「プリアの潮吹き穴」で波が砕けると、低いうなり音が足元から絶え間なく響いてきます。

暗く険しい海岸の岩の穴から海水が勢いよく空へ噴き上がり、濃い水しぶきの霧が立ちこめ、その中にかすかな虹が浮かんでいます。そこでは、深い地鳴りが聞こえる前に、足元で大地が震えるのを感じます。カンタブリア海の海水が低いうなり音とともに岩の亀裂へ入り込み、空気を圧縮します。そして、水が勢いよく噴き出す瞬間、力強い噴出音が響きます。これが、アストゥリアス州にある「プリアの潮吹き穴」の荒々しい声です。この音響現象は、長い年月をかけたカルスト侵食によって生まれたものです。断崖に穴が開いて天然の煙突状の通路が形成され、そこを通して海が轟き、呼吸するように水柱を噴き上げます。海が荒れるたびに、この現象が見られます。

オビエドの歴史地区

これらの石畳の通りを歩くと、バグパイプの甲高く絶え間ない音色が歩みのリズムを刻みます。オビエドの歴史地区を散策すると、打楽器の音が古い石壁に反響し、その響きに全身が包まれます。

演奏者の両手が、バグパイプの木製の旋律管をしっかりと握っています。演奏者は、袖口にギャザーの入った白いシャツに黄色いベストを身に着けています。バグパイプの空気袋は長い紫色の房飾りで覆われています。そこでは、耳をつんざくような鋭い音が石造りの建物に反響するのを感じます。ドローン管の低く持続する音が太鼓の乾いたリズムと絡み合い、空気を絶えず震わせます。音の波が狭い通りに沿って伝わり、金属的で広がりのある反響を生み出します。この独特の響きはアストゥリアス州を象徴しています。バグパイプは、ダブルリード構造によって非常に力強い音を生み出す楽器で、もともとは谷から谷へ意思を伝えるために考案されました。現在では、その響きがオビエドの歴史地区を満たしています。

マグダレーナ半島

マグダレーナ半島を歩くと、海が大地の上で息づいているように感じます。崖に近づくと、潮とヨードの濃く湿った香りを帯びた風に包まれ、サンタンデールの街を抱くカンタブリア海の力強さが感じられます。

明るい色の石造りで、大きな窓を数多く備えた堂々たる宮殿が険しい崖の上にそびえています。そのふもとには深い青の海が白く泡立ちながら激しく打ち寄せ、周囲には広大な松林が広がっています。マグダレーナ半島のこの先端に立つと、北風に包まれるのを感じます。波が石灰岩に絶えず打ちつけて海水を細かな飛沫に変え、潮、濡れた海藻、ヨードの刺激的で濃厚な香りが空気を満たします。潮気を含んだ荒々しい海風が、近くの海岸松の爽やかで樹脂を思わせる香りと混ざり合います。この地形は偶然にできたものではありません。この半島はサンタンデール湾を守るように海へ突き出し、外海に面した側では、開けたカンタブリア海の力と荒々しい潮の香りをまともに受けています。

パセオ・デ・ペレダ

湾岸を歩けば、そよ風が運ぶ独特の香りの混ざり合いに包まれます。サンタンデールのパセオ・デ・ペレダでは、海水の塩気と木々の緑が出会い、潮気を含んだ爽やかな香りが生まれるのを感じられます。

穏やかな水面に小さな遊覧船が係留され、石造りの護岸と風格ある建物の列に囲まれています。そこでは、カンタブリア海から吹く風が、潮、ヨード、湿った海藻の濃厚な香りで空気を満たしているのを感じます。一歩進むごとに、その海風が、近くの木々のメントールを思わせる清涼感とバルサムのような強い香りに混ざり合い、海と陸の香りの鮮やかなコントラストを生み出します。この、目に見えない香りの混ざり合いが、海に向かって開かれた州都サンタンデールの個性を形作っています。北部のいたるところに見られるユーカリが、潮の満ち引きに重なるように香りを放っているかのようです。

エル・ソプラオ洞窟

この洞窟の地下深くの暗闇に足を踏み入れると、冷たく重い空気が肌に触れるのを感じます。一歩進むごとに絶え間ない湿気に包まれながら、カンタブリア州のエル・ソプラオ洞窟の奥へと足を進めるにつれ、岩そのものが刻む凍てつくような鼓動が間近に感じられます。

巨大な岩のアーチ型天井から、サンゴのような白く繊細な方解石の結晶が密集して垂れ下がり、人々の頭上に天蓋のように広がっています。そこでは突然、気温が下がるのを感じます。空気は重くなり、絶えず染み込むような湿気が顔にまとわりつきます。凍えるような空気を感じながら、重力に逆らうように伸びる不規則な結晶の、ざらつき、もろさ、尖った感触を想像します。岩肌から放たれる深い冷気がゆっくりと衣服を通して染み込み、地下の重い静けさを伝えます。ほとんど気流のないこの特殊な環境が、この地質景観を一滴一滴形作っています。真っ暗な中、結晶があらゆる方向へ無秩序に成長し、白い森のような景観を生み出しています。

パシエゴス渓谷

クラフト紙を開いてソバオをひと口頬張ると、伝統そのものが口の中でほどけていくように感じられます。濃厚で甘いバターの風味が一気に広がり、カンタブリア州パシエゴス渓谷の緑豊かな牧草地へと誘います。

手前にはふんわりとした長方形のスポンジケーキが並んでいます。表面は濃いきつね色に焼け、中は黄色く、気泡がありながら密度のある生地で、白いクラフト紙の台紙にのっています。食べると、しっとりとした生地が口の中でゆっくりと溶けていくのを感じます。バターそのものの濃厚な甘みが一気に広がり、焼き上げた香ばしさと新鮮な牛乳の深い余韻が口いっぱいに残ります。紙型から外すときのかすかなカサリという音も、このひと口の味わいに寄り添います。このような濃厚な乳の風味は、カンタブリア州パシエゴス渓谷を象徴する味わいで、何世紀にもわたる畜産の伝統と、こうした食感を生み出す鍵となる脂肪分の非常に高い牛乳を忠実に映し出しています。

マリア・ピタ広場

この広々とした広場の中央に立つと、鐘の金属的で深い響きが時を止めるかのように感じられます。鐘の音が街の鼓動を刻み、広がりのある響きを残した後、ア・コルーニャのマリア・ピタ広場に静かに消えていきます。

柱廊と、赤みを帯びた3つの大きなドームを備えた、明るい色の石造りの堂々たる建物が、広々として静かな石畳の広場を見下ろしています。開放的で見通しのよい空間が、中央にある時計の鐘の荘厳な響きを増幅させます。青銅の鐘が打ち鳴らされるたびに、低く力強い音波が広場を横切っていくのを感じます。この場所の広さが天然の共鳴箱のように働き、金属的な残響が潮気を含んだ空気の中に数秒間とどまった後、完全に消えていきます。この大時計は時を告げるだけではありません。その歴史ある機構と鐘は、16世紀に街を守った地元の女性英雄に捧げられた市民広場を象徴する、ア・コルーニャ市庁舎の音の中心となっています。

ボタフメイロ

ボタフメイロが宙を舞う様子を目にすると、聖堂の冷たい空気が変わっていくのが分かります。香と炭の濃い煙が空間を満たし、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を、祈りに沈むような典礼の雰囲気で包みます。堂内には濃密な香りが漂い、聖堂内部に息づく歴史を感じさせます。

大きな金属製の香炉が高速で宙を舞い、高い石造りのアーチの下にぼんやりとした軌跡を残しています。香炉は、植物文様や幾何学模様の縁飾り、サンティアゴ巡礼を象徴する打ち出し模様で装飾され、丈夫なロープと鎖で吊り下げられています。そこでは、香炉が揺れるたびに、冷たい空気が、焦がした樹脂、木、炭の深い香りに満たされ、建物特有の湿気を押しのけていくのを感じます。衣服にまとわりつくような、強く包み込む香りです。この煙は儀式のためだけのものではありません。中世以来、堂内の空気を浄化し、何週間も歩き続けてサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に到着した多くの巡礼者の強い体臭を和らげるためにも使われてきました。

鏡の泉

「鏡の泉」の近くを歩くと、湿った空気に、無数の花びらのほのかで爽やかな香りが漂うのを感じます。ポンテベドラのパソ・デ・ロウリサンにあるロマン主義様式の庭園で花開く、繊細な香りの体験です。

手前では、2輪のふっくらとしたピンク色のツバキが無数の丸みを帯びた花びらを広げ、深く艶やかな緑の葉の間に完璧なロゼットを形作っています。「鏡の泉」のそばを歩くと、ガリシアのやわらかな霧が天然のディフューザーのように働くのを感じます。冷たい空気には、ほのかで清らかな花の香りが漂い、かすかな草の香りと、大西洋沿岸の森が放つ湿った土の深い香りが重なります。この香りの風景が、ポンテベドラのパソ・デ・ロウリサンを包んでいます。ロマン主義様式の庭園には州内でも最大級の植物コレクションがあり、ガリシア州がヨーロッパの大きな冬の庭園として知られる一因となっています。

サン・バルトロメウ教会

ペドレイラ広場の交差点に立つと、鐘の音が辺り一帯を包み込みます。金属的な鐘の響きが狭い石畳の通りに反響し、リズミカルなこだまとなって、ポンテベドラの歴史地区の穏やかな鼓動を刻みます。

古典的な意匠の堅牢な灰色の石造ファサードが鮮やかな青空を背景にくっきりと浮かび、上部の鐘楼では、アーチ形の開口部に重い青銅の鐘が収まっています。空気が突然振動するのを感じます。低く深い鐘の音が降り注ぐように連なり、ペドレイラ広場の花崗岩の壁に反響します。濃密な残響が生まれ、鐘が打ち鳴らされるたびに生じる音波が、消えていく前に重なり合います。この響きがポンテベドラのリズムを形作っています。ポンテベドラは歩行者空間化の先駆けとなった街で、自動車交通がないため、サン・バルトロメウ教会の何世紀も続く鐘の音が正確な「音の時計」のように働き、歴史地区を歩く人々の足取りを導きます。

オストラス通り

殻を開けたばかりのカキを味わうと、まるで大西洋をそのままひと口飲み込んだかのようです。塩味の刺激と肉厚な食感が一瞬で口いっぱいに広がり、ビーゴで「オストラス(カキ)通り」として知られる通りならではの海の街らしさを感じさせます。

楕円形の金属製トレイに、ざらざらした不規則な形の殻を持つ灰色や緑がかったカキがあふれるほど盛られ、新鮮なレモンのくし切りが添えられています。カキを口に運ぶと、海の味が一気に広がります。なめらかな身が口の中をすべるように広がり、ヨードと潮の深い余韻を残します。ミネラル感が、数滴のレモンの鋭い酸味と釣り合っています。この鮮烈な塩味こそ、ビーゴ湾ならではの味わいです。オストラス通りでは毎朝、伝統的なカキ売りの女性たちが、近くの養殖いかだから運ばれた何千個もの二枚貝を手作業で開け、ガリシアの海のエッセンスを凝縮した路上での試食文化を今に伝えています。

アス・ブルガスの泉

「アス・ブルガスの泉」に近づくと、水音が聞こえるより先に、大地の温かな息吹を感じます。濃厚な鉱物の香りにたちまち包まれ、オウレンセの中心で地熱の力が脈打っていることを感じさせます。

古い石造りの吐水口から透き通った水が絶え間なく湧き出し、その流れに沿って銅色や黄土色のざらついた鉱物沈着物を残しています。すぐに、空気が、深く持続する硫黄の匂いに満たされていることに気づきます。湿った土を思わせる濃厚で温かな香りにほのかな金属臭が混じり、空気中に漂う蒸気と溶け合っています。この紛れもない香りの痕跡は、ローマ帝国時代からオウレンセの歴史地区を特徴づけてきたもので、街中の地下深くから60度を超える温泉が湧き出していることを示しています。

ラス・カテドラレス海岸

巨大な石のアーチの下を歩くと、カンタブリア海が轟きながら、同時にささやくように響くのを感じます。水が岩に絶えず打ちつけることで低いこだまが生まれ、ルーゴ沿岸のラス・カテドラレス海岸にある一つひとつの洞窟に響き渡ります。

湿った砂の上に、暗い層状の岩からなる堂々たるアーチがそびえ、雲の点在する空の下、泡立つ波に立ち向かうように見えます。そこに立つと、干潮によって砂浜が巨大な共鳴箱へと変わるのを感じます。スレートの壁に打ちつける海の、リズミカルな轟音が聞こえます。音は、洞窟や天然の岩のアーチ状空間を通り抜け、深く絶え間ない残響を生み出します。その低いこだまが全身を包み込み、外界の音をかき消します。この独特の音響を生み出しているのは、長い年月をかけて形成された岩の回廊や飛び梁のような地形です。何千年もの間、カンタブリア海と風の力が高さ30メートルにもなる崖を侵食し、こうした岩の造形を彫り上げてきました。これらが、ガリシア州のラス・カテドラレス(大聖堂)海岸という名の由来です。

ラウレル通りのタパス

ラウレル通りを歩けば、バーごとに、それぞれ異なる鮮烈な香りで人を惹きつけていることがわかります。ラ・リオハ州ログローニョの街には、ニンニクの湯気、鉄板で焼いたマッシュルームの土を思わせる香り、そしてワインのさまざまな香りが満ちています。

使い込まれた木樽の上には、濃い色の赤ワインが入ったグラスとスライスしたパンを載せた皿があり、パンの上には焼いたマッシュルームが重ねられ、小エビが散らしてあります。ラウレル通りの狭い路地に、濃く熱い湯気が入り混じって立ちこめているのを感じます。油とニンニクがしみ込んだグリルマッシュルームの土を思わせる香りに、ワイングラスから立ち上る、ローストしたオーク樽や熟した果実のニュアンスが混ざり合います。こうした濃密な香りは、ログローニョの歴史地区の構造自体から生まれています。ごく狭い範囲に60軒を超えるバーが壁を接して軒を連ね、グリルや厨房から絶えず煙が立ち上る路地を形作っています。

トビアのブナ林

生い茂る木々の樹冠の下に足を踏み入れると、地面の湿気にたちまち包まれます。重くひんやりとした空気には樹皮や落ち葉の香りが漂い、ラ・リオハ州にあるトビアのブナ林の薄暗い奥深くへ、一歩一歩あなたを導きます。

鮮やかな緑の苔に厚く覆われたごつごつした岩が傾斜地に広がり、その両側には白っぽい幹のブナが立ち並んでいます。金色の葉が茂り、差し込む光はわずかです。森に足を踏み入れると、冷たい空気とともに腐植土や有機物の濃厚な香りが肺いっぱいに広がります。土を掘り返したときのような土っぽい香り「ペトリコール」が濃く長く漂い、そこに濡れた木の生々しい香りが重なります。トビアのブナ林の密生した木々が、谷の霧を閉じ込める自然の覆いとして働くため、これほどはっきりとした香りの特徴が生まれます。この植物の壁がラ・リオハ州の大地に湿気をとどめ、蒸発を遅らせるとともに、ゆっくりとした分解を促すことで、森全体に絶えず香りが漂います。

サン・グレゴリオ地下ワインセラー

このワイナリーの地下深くへ降りていくと、時間を忘れて味わうテイスティングに向けて、味覚が研ぎ澄まされていきます。ログローニョの中心部にあるサン・グレゴリオ地下ワインセラーを見学すると、オークや赤い果実、湿り気を思わせるニュアンスが舌をやさしく刺激します。

薄暗い明かりの下、アーチ状の石壁に囲まれた地下深くのトンネルの両側に、オーク樽が一列に並んでいます。そこで、ひんやりとした空気に触れると、舌がこれから始まるテイスティングを予感します。ワインを口に含むと、バランスの取れた骨格が感じられます。なめらかなタンニンが舌を優しく包み、黒系果実やバニラの濃厚なニュアンスに、ほのかなロースト香が広がります。長く続く味わいが、時間をかけた熟成を物語ります。この場所はサン・グレゴリオ地下ワインセラーで、ログローニョの地下に延びる17世紀の地下通路の一つです。石を掘って造られており、年間を通じて温度と湿度を一定に保つことで、歴史あるリオハワインの味わいを熟成させるために欠かせない環境を生み出しています。

ガロティコ

焼きたてのガロティコをひと口かじると、サクサクのパイ生地がすっと崩れ、濃厚で温かいチョコレートのフィリングが現れます。異なる食感と甘さのコントラストが、ナバーラ州の中心に位置するパンプローナの朝やおやつの時間を彩ります。

半分に切られたパイ菓子が、素朴なリネンの布の上に置かれています。手前には、焼き上げた生地の幾重にも重なる薄い黄金色の層が見え、その中に、溶けて艶やかなチョコレートが包まれています。焼きたてを口にすると、外側の層が軽やかな音を立てて口の中で砕け、香ばしいバターの温かな風味が広がります。すぐにチョコレートの濃厚な味わいが口いっぱいに広がり、軽やかなパイ生地と、溶けたチョコレートの絹のようになめらかな舌触りが対照をなします。この食感と風味のバランスこそが、パンプローナの歴史地区に広く根付く菓子類を象徴する、伝統的なガロティコの特徴です。絶え間なく焼き上げられるこの菓子は、ナバーラ州の寒い朝に、温かさと甘さに包まれるほっとするひとときをもたらします。

ロドサ

秋のロドサの通りを歩くと、薪とキャラメルの香りが空気に濃く漂い、甘みと香ばしさが口いっぱいに広がる味わいへの期待が高まります。ナバーラ州の中心に息づく伝統です。

鮮やかな濃い赤色のローストしたピキージョ・ピーマンが、ピーマンから出た汁とオイルに浸っています。表面には、焼けた皮の黒い部分がわずかに残り、小さく刻んだニンニクが散りばめられています。秋のロドサを歩けば、キャラメリゼした砂糖の香りが、これから味わうひと口への期待を高めます。食べてみると、口の中でとろけるような肉厚な食感が味わえます。口いっぱいに深みのある熟した甘みが広がり、ごくわずかな苦味と、香ばしく焼けた木を思わせる余韻が長く残ります。薄い果肉をもつ、この三角形のピーマンは、ナバーラ州を代表する食材です。伝統的に直火で焼き、水に触れさせず手作業で皮をむくことで、本来の風味を余すことなく保ちます。

メタウテン・トリュフ博物館 一般説明文

切りたての薄いスライスを味わえば、トリュフがなぜ「黒いダイヤモンド」と呼ばれるのかがわかります。土を思わせる風味が、湿った森やナッツを思わせるニュアンスとともに口いっぱいに広がります。そんな食の宝ともいえるトリュフの魅力を、ナバーラ州のメタウテン・トリュフ博物館で知ることができます。

ごつごつした黒い外皮の黒トリュフが木製のトリュフスライサーの上に置かれ、その隣には切りたての薄いスライスが並んでいます。断面には、褐色の濃淡と白い筋が迷路のように入り組んだマーブル模様が見えます。口にすると、最初のひと口で土を思わせる力強く奥深い風味が広がり、ほのかな苦みとともに、穏やかなニンニクやローストしたヘーゼルナッツを思わせるニュアンスが感じられます。ほのかに歯ごたえのある食感はすぐに溶け、うま味のある力強い余韻が長く続きます。チュベール・メラノスポルム(Tuber melanosporum)特有のこの複雑な風味は、セイヨウヒイラギガシの根と、この地域の石灰質土壌との共生によって地中で育まれ、このキノコを、メタウテン・トリュフ博物館で大切に守られる「地下のダイヤモンド」たらしめています。

ビルバオ・グッゲンハイム美術館

美術館の外壁に近づいて手のひらを当てると、表皮の下に巨人の鎧があるかのように感じられます。その湾曲した形に触れると、金属の温度の変化と驚くほど滑らかな表面が感じられ、ビルバオの入り江を守る大きな魚の鱗を思わせます。

何十枚もの長方形の金属板が重なり合うことで、澄み切った青空の下で太陽の光を反射する、堂々とうねる曲面を形作っています。ビルバオ・グッゲンハイム美術館のファサードに手を滑らせると、磨き上げられたような滑らかな感触が指先に伝わります。金属が、日中に蓄えた熱を返したり、カンタブリア海から吹く風の刺すような冷たさを伝えたりして、絶えず温度のコントラストを生み出しているのが分かります。手を進めると、一枚一枚の薄板が前の薄板と重なる継ぎ目に、わずかな凹凸を感じます。まるで、節のある皮膚をなぞっているかのようです。この有機的な凹凸は、建物を覆う厚さわずか0.5ミリメートルの極薄のチタン板、3万3,000枚以上によって生み出されています。この建物を設計した建築家は、チタン板を自由に形作れるよう構想し、巨大なチタンの鱗をまとった魚がビルバオの街を見守っているかのような姿を生み出しました。

イディアサバルチーズ

マルメロを添えたイディアサバルチーズをひと口味わうと、口の中に絶妙なコントラストが広がります。チーズのしっかりした食感とスモーキーな風味がマルメロの濃厚な甘さと溶け合い、ビルバオのピンチョスバーで親しまれている伝統的な味の組み合わせを生み出します。

濃い色のスレート板の上に、淡い色のイディアサバルチーズの厚い角切りが置かれ、その上には、艶のある赤みがかったマルメロペーストの薄切りがのっています。このピンチョスを口に運ぶと、まずマルメロの濃厚で甘い食感が感じられ、ゆっくりと溶けながら、甘くほのかに酸味のある風味が広がります。その直後、バターのようなコクを伴う、チーズのしっかりした食感が口の中に感じられます。ほのかな辛味とスモーキーなニュアンスをもつ力強い風味が最初の甘さを引き締め、ひと口ごとに、余韻の長い、濃厚でなめらかなバランスを生み出します。この組み合わせは、ビルバオをはじめバスク州全域の居酒屋で親しまれている定番です。イディアサバルは、在来種のラチャ種またはカランサナ種の羊の生乳だけを使って造られ、熟成を通じて、緑豊かな谷に息づく牧羊文化の趣をその内に宿します。

ラ・コンチャ海岸

カンタブリア海沿いを歩き、錬鉄に手を休ませると、金属の硬さと、そよ風が運ぶわずかな湿り気とのコントラストを感じることができます。サン・セバスティアンのラ・コンチャ海岸では、波を前に、その場所とのつながりを強く感じられる触覚体験が楽しめます。

手前には、円と彫刻された葉の文様が連なる、華やかな白い錬鉄製の手すりがあり、明るい砂浜と青い海を背景にくっきりと浮かび上がっています。指先で鉄の花飾りのレリーフをなぞると、手のひらに、金属を覆う塗装の冷たい感触が伝わります。カンタブリア海から絶えず吹く風が運ぶ、濃く塩気を帯びた湿り気を肌で感じるとともに、波が下の壁に打ち寄せると、この構造物がかすかに振動するのが分かります。20世紀初頭に設置されたこの特徴的なデザインは、海による腐食を防ぐために絶え間ない手入れを必要とし、現在も、サン・セバスティアンのベル・エポックを代表する触覚的・視覚的な象徴となっています。

サンタ・マリア・デル・コロ・バシリカ教会堂

聖セバスティアン像に手を滑らせることは、その立体感や質感を通して石を手で読み取るような体験です。一つ一つのひだや傷、彫り込まれた矢をたどることで、サン・セバスティアンのサンタ・マリア・デル・コロ・バシリカ教会堂の彫刻に刻まれた殉教の緊張感を理解することができます。

黄土色の石で造られた華麗なバロック様式のファサードが堂々とそびえ、中央の壁龕(へきがん)には、矢に貫かれた緊張感あふれる姿の聖セバスティアン像が納められています。この彫刻に触れると、指先に砂岩の冷たくざらついた多孔質の感触が伝わります。指先で聖人像の筋肉の解剖学的な曲線をなぞると、矢の鋭い縁と、深く彫り込まれたひだとのコントラストを感じ取ることができます。表面がわずかに摩耗し、時の経過によって石材が削れた小さなくぼみがあることに気づきます。サン・セバスティアンのサンタ・マリア・デル・コロ・バシリカ教会堂にあるこの作品は、近くのイゲルド山で採れた石を彫って造られています。この砂質の石材はカンタブリア海の潮気を吸収し、一つ一つのくぼみを海風が刻んだ触覚的な記録へと変えていきます。

風の櫛

石畳の上を歩き、海の轟音を聞くのは始まりにすぎません。耳を澄ますと、サン・セバスティアンの「風の櫛」の彫刻の下で、地面から空気が激しく噴き出す音と、勢いよく噴き上がる水の音が聞こえます。

荒れたカンタブリア海に面する険しい岩から、錆びた鉄でできた重厚な彫刻が突き出し、太く湾曲した腕が爪のように絡み合っています。低く、絶え間なく響く波の轟音が石に打ちつけるのを感じます。足元からは、激しい噴き出す音に先立って、低くリズミカルな轟きが伝わってきます。水と空気が地下の空洞を通って押し出され、巨人の吐息のような鋭く長い笛の音を立てながら地表へ噴き出します。この地質学的な交響曲こそ、サン・セバスティアンにあるエドゥアルド・チリーダの作品の真髄です。鋼を海岸の風景に組み込むだけでなく、潮の満ち引きと呼応させ、周囲の環境そのものを巨大な管楽器へと変えるよう設計されています。

フエロス広場

石段を下りていくと、街の喧騒が徐々に消えていくのを感じます。一番下まで降りると交通の音は消え、ビトリアのフエロス広場を歩く一歩一歩に、澄んだ残響だけが残ります。

ハトの群れが飛び立つと、花崗岩でできた階段状の円形劇場の底面をなす、同心円状の石畳の上に円が描かれます。この階段を下りると、ほとんどすぐに周囲の音から切り離されたような感覚を抱きます。近くの大通りから絶えず聞こえていた車の音が、突然消えていきます。代わりに、低く澄んだ反響が聞こえてきます。鳥の素早い羽ばたきと、自分の足音の乾いたこだまがくぼんだ石に跳ね返り、このクレーター状の空間がもつ音響的な性質を感じさせます。この深くえぐられた空間は、1980年代にエドゥアルド・チリーダによって設計されたものです。チリーダはビトリアのフエロス広場を、大地に掘り込まれた巨大な迷宮、都会の喧騒のただ中にある静寂の神殿として構想しました。