「ミロの太陽」

1991年になると、新しいキャッチコピーである「パッション・フォー・ライフ」の下、ますます活動的で臨場感のある観光が推進されるようになります。スペインを訪れる人々がスペイン人の情熱的な性格に触発されながら、さまざまなエクスペリエンスや感情を味わいつつ休暇を楽しめるようにすることがキャンペーンのねらいでした。

このイメージキャンペーンでは、国際的名声を博す写真家がスペインの姿を思い思いに表現しています。ハーブ・リッツ、エリオット・アーウィット、アニー・リーボヴィッツらが手がけた写真には、スペインがスタイリッシュで異質、かつ強烈な国として写し出されています。

1998年には「ブラボー・スペイン」というキャッチコピーの下で新しいコミュニケーション・キャンペーンが誕生します。明確で、かつ心に残り、どの言語でも簡単に、しかも同じように発音できる合言葉が使われています。「質の高さと多様性を備えた現代的な国」としてのスペインのイメージを伝えるものとなっています。

画期的な広告キャンペーンであると同時に、スペインを独自の個性をもつ観光目的地としてとらえることに、キャンペーンの創造的な主軸が置かれています。「スペイン人による人生のとらえ方」は訪問者の関心を引かずにはおかないものであり、その痕跡はいつまでも彼らの心に残る（マークされる）というわけです。

このキャンペーンが強調するものとは、スペイン訪問で得られる感情や親しみやすさといった要素であり、またスペインならではの愉快でリラックスできる体験でもあります。キャンペーン画像には笑顔を模した一本の線がはっきりと描かれているほか、スペイン流の生き方やライフスタイルに焦点が当てられています。

スペインの観光ロゴマークの25周年を記念し、一般的なキャンペーンと並行して特別キャンペーンも行われました。「時を越える旅」を通じて25年前の観光客が今日のスペインを楽しむという内容になっています。

このキャンペーンの目的は、スペインの主たる強みに基づいて観光トレードマークを刷新することにありました。その強みとは、スペインの生活習慣にほかなりません。フェラン・アドリア、ヒセーラ・プリード、サッカーとバスケットボールのスペイン代表メンバーなどがアンバサダーとして本キャンペーンに協力しています。

このキャンペーンは2017年、国際色豊かな観光客をターゲットに実施されたものです。スペインの姿のうち、特に志が高くおもてなしの心あふれる一面をとらえたもので、スペイン訪問を終えた観光客の心の奥にこの国のある側面がどう残るかを示すものとなっています。

大きな期待とともに実施された2021年のキャンペーンでは、スペインを「自分の第二の故郷」であり「ユニークで忘れられない経験をした場所」だと感じている観光客を対象としています。感情を揺さぶるような創造的な作品に仕上がっており、一年で最高の時期であるホリデーシーズンが到来したこと、そしてスペインに戻る時が来たことを人々に思い出させるものとなっています。

このキャンペーンは観光業界の景気回復期に合わせて特別に企画されたものです。「スペインで忘れられない休暇を過ごしたい」という前向きな気持ちやかけがえのない瞬間に訴えかける内容となっており、現在の状況に合わせた新たなアプローチが提案されています。